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「今度、フルアルバム出すんだ」その話を聞いた時に私が発した第一声は「えっ!?マジで!?」である。コンスタントにLIVE活動を続け、楽曲制作を続けていたことも知ってはいたが、まさかここへきて、フルアルバムを出せるほど曲数が完成していたことに驚きを隠せなかった私がいた。そしてその時に話していたアルバムが【1977】まさにこのアルバムだということだ。“1977”というタイトルを見た時に「なるほど!」と思った人もいるだろう。色んな意味が含まれたタイトルなのだと。そして様々な道を歩んできたTAKA氏とKATSUMI氏だからこそのこの数字の並びなのだろうと。  
 
今回DECOYから「アルバムに掲載するかもしれないから、何か簡単に書いてよ!」と依頼を受けた際、なぜ楽曲のことなどよくわからないド素人の私に声をかけてくださったのか…と戸惑いを感じたが、せっかくなので自分にしか書けないことを書いてみようかと思う。  
 
私は今から10年以上前に池袋のビルの地下にある、とある天井の低いライブハウスでKATSUMI氏と出会った。当時彼の髪は青かった…。初対面では、ほとんど口をきいてくれなかったような記憶がある(笑) その時に私が観客として見たのがKATSUMI氏と、のちに加入してくるTAKA氏のいた、DECOYの前身バンドだ。今のDECOYしか知らない人にとっては想像もつかないだろうが、割としっかりヘアメイクをしてステージに立つようなバンドだった。最初はバンドの客としてLIVEへ足を運んでいた私が、様々なタイミングの重なりを経て、数か月後からスタッフとしてそのバンドの応援をしていくことになる。ただ、スタッフになった頃もまだ、KATSUMI氏はあまり口をきいてくれなかったと記憶している(笑) そんなKATSUMI氏ではあるが、彼の作る曲はとってもキャッチ―でポップな曲が多く耳に残るものだった。当時のデモテープ(時代を感じるな…)が手元にあったので久しぶりに聴いてみたが、今のDECOYの曲としてLIVEでやっていても別段違和感もないような気すらするほど、彼の紡ぎ出す曲は芯がブレないのだ。何がきっかけだったのかは覚えていないが、いつの間にかよく話してくれるようになっていたのも、彼の作る曲を聴いてみれば、あんなにキャッチ―でポップな曲を作れる人が無口で人と関わるのを嫌うような人なわけがないのである(あくまでも個人的見解)  
 
その後メンバーチェンジを何度か経て、TAKA氏が新しいボーカルとして加入をしてきた。 「今日、新しいボーカル来るからね」とメンバーから聞いていた私は内心緊張しながら待っていたが、飄々と現れたTAKA氏は「よろしくお願いします」とぺこりと挨拶をしたっきり、リハ開始待ちのライヴハウスフロアで文庫本を読み始めた。『マジか!?』と正直思ったものである。そしてまさかの、ほとんど口をきいてくれなかったのである。TAKA氏の加入を受けバンドはさらにスピードを増し、LIVE回数も増えたものだったが、いつも飄々と現れ、時間が空くと文庫本やプロレス雑誌を読んでいるようなそんな人だった。  リハの合間にも曲のアレンジやステージでの動きを話すメンバーの傍で、いつもふんわり笑いながら話を聞いているのがTAKA氏だった。結局、しばらくして私事でスタッフを辞めるまで、彼はふわふわと捉えようのない人であった。  しかしTAKA氏が次々と書き上げてくる歌詞は、不思議と耳に残りやすく、対バンのバンドマンやスタッフさんがCDを買ってくれるなんてことも、よくあった。今思えばTAKA氏の書く詞もまた、キャッチ―だったのだろう。そしてまた個人的な話をすれば、彼の書く詞には「君」と「僕」が頻繁に登場するのも、なんだか彼らしくて好きだった。 君と僕は様々な世界を見せてくれていた。  
 
そんな二人が新しく始めたのがこのDECOYであるが、相変わらずキャッチ―でポップなメロディに君と僕の物語が綴られている。一見するとあまり似ていないように見える二人だが、何年も芯がブレないあたり、案外似た者同士なのだと思う。そしてより二人の色が濃く楽曲やステージに反映されるようになったのではないだろうか。今、良い意味でとても肩の力を抜いて、音楽を楽しんでいる二人がいる。音楽を続ける中で、新しい試みをし、今までにやったことのないようなアレンジを取り入れたりもしている。ずっと彼らが続けてきた音楽と、新しく今だからこそ生み出された音楽が、様々なところに散りばめられているのが今回のアルバムである。“1977”には彼らがこれまで歩んできた道が収録されている。LIVEではすでに定番となっているナンバーから全く新しい方向性の楽曲まで、ぎっしりと今の彼らが詰め込まれている。二人が紡ぎ出す世界は今、アルバムを手にした方々にはどのように聴こえるのだろうか。
 
2016年4月 北村 繭

セルフライナーノーツ

​TAKA & KATSUMI

01.No.9 
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
 
TAKA : 詩パターンA。詩パターンAとは同じ世界観で詩を描きました。想像の翼を働かせて楽しんで下さい。 一曲目にしてパンチのある切り込みで、アルバムのこーゆう始まり方好きなんです!曲の前の掴みも良いでしょ?ピピピッと閃いちゃってさ(笑)メロも詩も緊張感があって良いね!前作の最後の曲が「endroll.」で、その続編でもあります。夜明けを待った先には・・・さぁ、1977の世界へようこそ。
 
KATSUMI : ザ、一曲目、的な。本来ならばオープニングは二曲目の「Anniversary」が一曲目になるんだろうけど、そうなるとこの曲の場所がなくて(笑)そういうわけで一曲目です。曲は戦車がガーっと走ってる感じです。
 
02.Anniversary 
Music by DECOY
 
TAKA : KATSUMIさんの構想の中、ギークロイドにお願いして実現できた10周年を祝うにふさわしい曲ですねー。ただただ素晴らしい!そして彼には心から感謝!!  
 
KATSUMI : うちの曲をオーケストラチックにしてメドレーにする、っていう構想がずっとあって。ただそういう技術がなかったんでなかなか取り入れられなかったのですがそんな中、友人のギークロイドにダメ元で頼んだら快諾してもらい、めでたく作品になりました。彼らしいサウンドなんだけどやっぱうちの曲だな、って。これはじっくり聴いてください。
 
 
03.君のためにできること 
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
 
TAKA : DECOYのPOPな部分がフューチャーされていて爽快なナンバーだよね。でもこーゆう曲って、作ろう!としないとウチらはジャムではあまり作らないかも、何も考えないでセッションするとマイナーな曲が出来上がる、意図して作ろうとするとポップな曲も出来上がる、それもデコイです(笑)物事はグチャグチャな糸で絡まってたりするけど、自分の正しいと思った道なら行こうよ!な詩。
 
KATSUMI :まあウチらしい前向きな曲だね。サラッと聴ける曲だけどいろいろアレンジは凝ってるんですよ。アコギも入れて爽やか感も出てるでしょ?MVも作ったんだけど曲にマッチしてるよね。
 
04.BLUE 
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
 
TAKA : 現実を知り、弱さも強さもみせる詩。イントロからAメロまでは結構前からあった曲。ただバンドサウンドにするまでが大変だったような、これライブで出来るのかな?って(笑)メロディラインはそれほど悩まずいけたかな、こういう曲を作るのは先程も言ったように僕ら得意だと思うよ(笑)
 
KATSUMI : こういう曲をやりたかった。音の隙間が多く、サビで開ける、的な。このアルバムの曲で一番のお気に入りかも。こういう曲、オハコです。大得意。ギターソロは割と弾きまくってる感じですね。ちなみにこの曲はムーディーなんで仮タイトルは「ムード」でした(笑)
 
 
05.BABEL
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
TAKA : 詩パターンA。KATSUMIさんが10代の頃作った曲で元からあったメロとかは聞かずにあらためて色付けした曲。メロも詩もサクサク描けましたなぁ、逆に元がどんなのか今聞いてみたい(笑)
 
KATSUMI : 原曲は10代…確か高校生くらいの頃に作ってます。多分前のバンドの曲とか含めてもその中で1番古い曲だと思う。その当時作ったカセットテープをたまたま聴いて、ちょっと作り直そうかな、と思ってデモを作り直して…。もともと僕が歌メロとか歌詞をつけてたんだけどあまりにも…だったので(笑)TAKAに作り直してもらった。当時はポジパン作るぜ!って作ったと思うんだけど、ドラマチックな感じになったかな。ARANはドラム録りに苦労してました。
 
06.六月の蛍 
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
TAKA : こういう詩が書きたかったのだよね、送り出す者の心情が溢れてる人間味ある作品で前半の締めくくりに相応しい曲だと感じます。
 
KATSUMI : もともとリハーサルの空き時間にイントロのベースラインから作ったのかな。ギターはシンプルなんですがサビ以外リズムの取り方が違うからギターをメインに聴くと混乱する仕様になっております(笑)リズム隊が入るときに当人たちが混乱してます(笑)同期を結構入れました。シンプルな曲だけど、浮遊感を出したかったから。純粋にいい曲だと思う。これもMV作りましたねえ。
 
 
07.SLIDE 
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
 
TAKA : アルバムという考え方でいくと後半も飛ばして行こう!的な疾走感ある曲。情熱を持ってライブでも音源でも聞いてください!
 
KATSUMI :ライヴではお馴染みの曲。勢い重視なんだけど実はガッチリとした決め事が結構ある曲なので…ライヴではわーっとやっているようで神経使ってますよ、と(笑)
 
 
08.It's always darkest before the dawn 
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
TAKA : ここからはDECOYのコアな部分が続きます(笑)詩パターンA。2014暮れからのマンスリーライブの時のタイトルでもあり。このテーマとエクスカリバーの世界観をベースにパターンAの詩を書いたので、この台詞も書いてる時に、これしかないかなと思い、このタイトルを付けました。KATSUMIさんがインストとして持ってきた曲なんだけど新たな試みをしたくて、やっちゃいました(笑)録り自体はスムーズで、まぁ僕の滑舌がちょーっと気になりますが想いと雰囲気は詰まってますので(笑)これからも続けていきたいなぁ!KATSUMIさんがインスト持ってきたら台詞つけちゃお(笑)
 
KATSUMI : サウンドノベル?みたいな。趣味で作ってた打ち込みの曲を当初インストで入れようと思ってたんだけど、TAKAがセリフ入れたいってことで掛け合いになるよう女性ゲストを迎えてこんな感じになりました。初の試みでしたが結構面白いんじゃないかなあ。
 
09.覚醒 
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
TAKA : 詩パターンA。前の曲の流れから~のこの曲。繋がってますよー皆さん(笑)ジャムりながら作った曲かな。そっからKATSUMIさんがサイボーグにしたら、新たな一面の雰囲気な曲になりました!曲自体は短いながらもトータルで浮遊感あって素敵な曲。歌い方もあえてサラッと歌っています、氷のような感覚。
 
KATSUMI : リハで適当に弾いたリフを発展させて作った曲。これはとにかく無機質な感じにしたかったからベース、ドラムは打ち込みにしました。MV撮影で伊豆に行った時に酔った勢いでこの曲も撮影しました(笑)ダークな感じで非常に気に入っております。
 
 
10.picture -Acoustic-  
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
TAKA : 前作に入っているアコースティックバージョン。このバージョン好きなので是非とも今回入れたいなぁって。KATSUMIさんの弟も頑張ってくれて豪華に仕上がってます!
 
KATSUMI : 前作でのバンドバージョンとは雰囲気がガラッと違う感じで。アコースティックライヴ用にやってたアレンジで、ピアノとシンセを追加しました。音数が減った分、この曲のメロディー、切なさがより際立ったんじゃないかな。ちなみにピアノ、シンセは僕の弟がやってます。
 
 
11.エクスカリバー 
Lyrics & Music by TAKA
TAKA :詩パターンA。ここからまた加速して行こうというアルバムの流れ好きだなぁ、結構曲順は2人で話し合ったからね!ファイナルファンタジーが僕個人が大好きで、リスペクトの気持ちで形になった曲。ギターソロ明けのメロはライブで一度だけ別バージョンのがあったのだけど、今のメロに落ち着きました。ギターソロもこんな感じとKATSUMIさんに言ったら、すぐに理解してくれたの。TAKAが好きな感じだね!と。リズム隊はその理解度の速さに驚いてた(笑)
 
KATSUMI : これはTAKAがコードと歌メロを作ってきてアレンジしました。シンプルな構成だけど力強さがあり、っていうTAKAらしい曲に仕上がったんじゃないかな。これはMVを撮ったけど、雪の中で撮影がしたかったからMVもすごい気に入ってます。すごい大変でした…。どんだけ大変だったかは「デコイと行こう。日光編」を見てください(笑)
 
 
12.ひかり 
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
TAKA :前のマキシの発売がメンバーの脱退と重なってしまい、ちょーっと可哀想だなと感じてて、今回あらためてリテイク。更に疾走感が増して素敵な作品になりました。ひかりょ、良かったね!(笑)曲としては2006年の7月ぐらいに披露してたと思うけど、色褪せない大事な曲。
 
KATSUMI : 2007年にシングルでリリースしてるので、今のメンバーでのリテイクバージョンになります。テンポも速くなって一層ライヴに近くなってるね。ギターはソロをちょっと変えたけど他は当時のままあんまし変わってないかな。
 
 
13.1977 
Lyrics by TAKA / Music by KATSUMI
TAKA : KATSUMIさんからオケとタイトル名だけを頂き作った作品。タイトルがタイトルなだけに一番詩は難航して、ちぎっては投げちぎっては投げ、時に俯瞰してみたりして月日を重ね出来上がり満足!自分自身の物語でもあり、聞いてくださる皆さんへの感謝でもあり、他の曲たちにも通じあうものでもあり、全てに伏線を張ってます。そう、巧妙に(笑)最後のコーラスは制作段階から入れてやろうと水面下で考えて無事に採用(笑)ラストを飾るのにふさわしい曲ですね!
 
KATSUMI : これはアルバムの中で最後に作った曲。作ってる時から「これはアルバムラストの曲だな」って思ってた。タイトルも僕が考えてTAKAに歌詞を書いてもらった。できた歌詞は…なんか恥ずかしい感じ(笑)まあ当人たちにしか分からないってことがあるじゃん?まさにそんな感じがして(笑)この曲はシンセとかを抜いて純粋にドラム、ベース、ギターだけのバンドサウンドにしました。使用したギターも1977年製のムスタング、とかとことんこだわった。シンプルな曲だけど深い。ラストのコーラスが美しいね。
 
 
アルバム「1977」  
TAKA : 前作から時は経ち、SLIDEとかずっとライブでやってきた曲や今回撮り下ろした曲やらで色々なカラーがあり、前作を超えられました!これを出せるのも手にとってくれるみんながいてくれるから実現できたのであり頑張れました!感謝感謝なのです。やっぱりフルアルバムって必要だと思うのだよねー、是非とも一人でも多くの方に耳にして欲しいと今は感じます。そして、全ての出来事にありがとうございます!!
 
KATSUMI : 前作から随分時間が経ちましたが、また一つ作品が完成しました。今回はバンドサウンドにしたかったので、いつもサポートやってくれてるNOYURIちゃん、ARANの音も一緒にパッケージングすることができました。いろんな人の協力があってできたアルバムです。関わってくれた皆様に感謝、感謝です。そんな「1977」、1人でも多くの人に聴いてもらいたいです。
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